第12回 取引環境・労働時間改善兵庫県地方協議会開催
カテゴリ:物流 2022-03-19配信 |
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「適正な運賃収入の取り組みが必要」戸田自交部次長
第12回目となるトラック輸送における取引環境・労働時間改善兵庫県地方協議会(座長・小谷通泰神戸大学名誉教授)が3月1日、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、リアル(兵ト協総合会館)とWEBのハイブリッドで開催された。協議会は小谷座長が議長となって進行した。 冒頭、戸田辰司・近畿運輸局自動車交通部次長は「トラック業界など、エッセンシャルワーカーとして、国民の暮らしを守り、経済活動を支えていただき、心から敬意と感謝を申し上げます」とエッセンシャルワーカーとしての活動に謝意と敬意を述べた。続けて「トラック業界においては、運転手の確保が課題となっておりますが、令和6年4月から始まる働き方関連法に基づく時間外労働の上限規制の適応の対応などを考慮すると、ますますドライバー不足が懸念される。この問題に対応するためには、トラックドライバーの労働条件、労働環境の改善を図り、持続可能な事業を行っていくために必要なコストを反映した適正な運賃収入の取り組みを進めていく必要があると考えている」と運転手確保の必要性を述べ、また「燃料価格の状況は、トラック事業の経営に大きな影響を与えている。運輸局にとして、燃料サーチャージの導入等により、適正に運賃に反映されるよう荷主団体等に協力を求めている」と挨拶した。 続けて、兵庫県トラック協会の原岡謙一会長は「新型コロナウイルスの影響で物流業界も貨物量の減少が顕著になっている。また、少子高齢化によるドライバー不足が問題です。事態を深刻化しているのが、トラックドライバーが、他の産業に比べて長時間労働であり、低賃金にもなっていることから3K職場のイメージが定着。また、燃料高騰により企業経営も圧迫。現状のままでは、必要なドライバー確保が困難でありトラック輸送の健全な維持・発展に重大な支障をきたし人々の経済を支えるライフラインとして役割を全うできなくなる。トラックドライバーの労働環境、労働条件を改善し、若者や女性にとって魅力のある職場に改善していかなければならない。当協議会で、みなさまからのより良い意見を出していただき、より良い導きになるようご検討いただければと思います」と協議会への期待を述べた。 その後、事務局より、第11回協議会の発言要旨について説明があり、「近畿運輸局管内における実証事業の取り組みでは、予約システムを導入した企業が、3時間程度あった待機時間が一気に30分短縮された。しかし、その時間に到着できるのかがドライバーのプレッシャーになり、高速道路を使用しても、事故の影響で渋滞となることを考慮すると、早めに出て行かざるを得ないなどの問題がある。 また、ウイズポストコロナ時代への対応については、ホワイト物流の進め方を、少し違った形で展開していくために、小学生の時からサプライチェーンマネジメントの中でホワイト物流の考え方を教科書に載せ、社会や、荷主、消費者に理解してもらえる環境作りをお願いしたい」などとした。 木南一志・兵庫県トラック協会・副会長は「標準的な運賃」の届出について「令和4年1月現在で兵庫県は13%。全国のワーストワンから脱出したが、トラック協会では届出率を上げる取り組みをしてきたが、わたしが一般事業者なら出さなくてもいいのではないかと感じている。色んな形で行政や荷主企業等が中心となって声を上げてもらっているが、全く実がない。ドライバーと我々の負担になっている。この責任を一つでも減らす方向に、みなさんにトラックドライバーのためになることを考えてほしい」と現状の課題と解決策の方向性について述べた。 これを受けて、荷主企業であるフジッコ株式会社の永坂昇一生産本部SCM部長は「資材関係の価格が上昇している。また、安いスーパーの影響で価格競争が進んでいる状況。この中で物流コストをどのように吸収していくのか。対応としては値上げしかない。そうなったときに消費者に近い立場の啓蒙活動が必要ではないかと考えます」とし、続けて「「標準的な運賃」に関しては、運賃を上げることは仕方ないが、このコストをどう吸収するのか、ここに舵を切らないと、2024年には間に合わない。荷主として選ばれなくなる。なので、より消費者に近い立場での活動が必要だと感じています」と荷主の現状について語った。 協議の終了に際し、岸泰広・兵庫労働局労働基準部長は「コロナ禍において、日々の感染リスクを抱えながら、社会活動の基盤を支え物流を滞らせてはならないなかで、ドライバーのみなさまには感謝申し上げます」とドライバーに謝意と敬意を表し、続けて「人手不足、長時間労働の課題に対して、コロナ禍で有効求人倍率が低下、人手不足が解消するまではいたっていない。また、宅配の需要拡大等による繁忙等もあり、依然長時間労働の状況にある。さらに、令和5年4月から、月60時間を超える時間外労働に対する割増率を50%以上にする改正事項が中小企業にも適用される。施行の時期が迫っているので、猶予期間中に荷主のみなさまと運送事業者のみなさまが議論をして取引環境を整えていくことが重要である」とあいさつし締めくくった。
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