自動車ニュース
年頭所感― 兵庫県警察本部 交通部長 角田 正文
新年あけましておめでとうございます。
皆様には、御家族とともに、穏やかな初春をお迎えのこととお慶び申し上げます。

自動車関係業界の皆様におかれましては、長期化するコロナ禍においても、交通安全活動をはじめ、警察業務の各般にわたって、深い御理解と温かい御支援を賜っておりますことにつきまして、厚く御礼申し上げます。

さて、県内における昨年の交通事故情勢でありますが、交通事故件数、傷者数ともに減少しているものの、死者数は大幅に増加しており、昨年11月末現在で109人(前年同期比+10人)の方が亡くなられております。

交通事故の特徴といたしましては、昨年11月末現在で交通事故死者数の半数以上を65歳以上の高齢者の方が占めているほか、道路横断中の歩行者と車両の衝突事故による死者数は37人(前年同期比−3人)で、そのうち横断歩道横断中の死者数が12人(±0人)と依然として、横断歩道等における道路横断中の歩行者と車両が関係する交通事故の防止が喫緊の課題となっております。

先般、日本自動車連盟が公表した「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査」の結果では、兵庫県の停止率は全国で2番目となる64.7%という結果となり、また、県警察独自で県下全域において実施した停止率調査においても57.0%と前回調査時から4.8ポイント向上しており、県民運動として取り組んでいる「横断歩道 おもいやりで事故ゼロ運動」に伴う各種活動に、一定の効果があったと思われます。

しかしながら、未だに歩行者にとって最も安全であるべき横断歩道上において、悲惨な交通死亡事故が発生しており、横断歩行者がいるにもかかわらず、横断歩道手前で止まらない車があることから、歩行者優先意識の更なる定着と交通事故防止対策を図る必要があると認識しております。

こうした情勢を踏まえ、県警察では、子どもと高齢者を始めとする歩行者の安全確保に取り組んでおり、交通事故防止と歩行者優先意識の向上方策といたしまして、「横断歩道合図(アイズ)運動プラス」を引き続き推進し、歩行者優先意識の更なる向上を図るとともに、それに加えて自動車だけでなく、悪質・危険な歩行者や自転車利用者に対する通行マナー向上のための指導取締りを徹底するなど、交通事故の防止を図っていく所存であります。

また、道路交通法の一部改正により、本年4月1日から、「特定自動運行」の許可制度がはじまります。
これは、一定の条件のもと、自動運転レベル4に相当する、遠隔監視により自動運転車両を公道において走行させる場合に、都道府県公安委員会の許可が必要となるものです。

そのほか、自動配送ロボット等を、公道において走行させる場合に、都道府県公安委員会への届出が必要となるなど、IT技術等の発展や普及によって交通社会にも大きな変化が訪れようとしています。

県警察としましては、このような交通社会の急速な変化に対し、法にのっとった的確な対応により、交通の安全と円滑を図っていく所存であります。
結びになりますが、皆様におかれましては、今後とも、各種交通安全に関する諸施策等への御理解と御協力を賜りますとともに、事業所や地域における交通安全意識の普及啓発に御尽力いただきますようお願い申し上げます。

本年が皆様方にとりまして幸多き年になりますよう祈念いたしまして、新年の挨拶とさせていただきます。

※角田 正文の「角」は、正確には異体字