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「標準的な運賃」普及セミナー(応用編)を開催
「取引条件の見直しが重要」小坂氏

兵庫県トラック協会(原岡謙一会長)は全日本トラック協会と共催で11月19日、トラック総合会館にて『標準的な運賃』普及セミナー(応用編)を開催した。講師には、日本PMIコンサルティング株式会社で代表を務める小坂真弘氏から、資料を元に「標準的な運賃」告示の背景・概要、「標準的な運賃」を踏まえた原価計算(演習など)、原価計算を反映した運行形態別運賃の考え方、荷主との交渉方法の4項目を中心に説明があった。

開催冒頭、小坂氏より「コロナ禍での事業環境は厳しいが、コロナ禍の前までとはいかないが戻ってはきており、回復の兆しは出てきていると感じている。アフターコロナを見据えて取引条件の見直しを検討していただきたい。まだまだ不透明感はあるかもしれないが、人材をどのように増やし確保ていくのか、取引先条件の何を見直すのかなど非常に重要な課題です。お客さんにどう話し合いを展開し、運賃の引き上げの交渉をしていくのかの参考にしてもらいたい」とあいさつした。

標準的な運賃の告示の概要・届出については、令和6年4月から働き方改革関連法に基づき、トラックドライバーの時間外労働の上限規制(年間960時間)が適用される。また、長時間労働、低賃金等によりトラックドライバーが確保できず、重要な社会インフラである物流が滞ってしまうことのないよう、事業者が人材を確保し、法令遵守を徹底し、持続的なトラック輸送を維持するため、貨物自動車運送事業法が改正され、国土交通省は、令和2年4月、事業者が法令を遵守して持続的に事業を行う際の参考となる運賃として「標準的な運賃」を定めた。

原価計算を反映した運行形態別運賃の考え方については、標準的な運賃を活用し、取引先に対して申入れ、交渉を円滑に実施するために、自社原価を踏まえた運賃・料金表の作成、必要な係数の算出、荷主への交渉を実施する。

また、「標準的な運賃」を踏まえた原価計算(演習など)については、全日本トラック協会WEBサイトで、距離制運賃及び時間制運賃における「基準運賃」を算出するための簡易な計算シートを提供している。詳細な条件設定(割増・割引、幅運賃等)をせずに、標準的な運賃の基準運賃に限定した算出が可能となっている。さらに、営業所の所在地、車両情報、実車キロ程等を入力するだけで、標準的な運賃(基準運賃表)に基づく、距離制運賃・時間制運賃をピンポイントで算出が可能だ。さらに、現行の収受運賃単価(または見積運賃単価)を入力すれば、標準的な運賃との差額等も計算できる。

荷主との交渉方法については、まず、日頃から立ち話など会話ができる関係作り。取引先と問題の共有化。取引先から共感を引き出す。誰と交渉するか見極める。交渉上の駆け引きの5つのポイントが条件の見直しに大切である。また、運賃交渉を行うリスクの理解も必要だ。例えば、取引先ごとに対応が極めて相違するケースが多く見受けられ、運送事業者の意見をよく聞き、運賃改定にも理解を示し、即対応してくれる荷主・元請事業者もあれば、運賃改定の申し入れを繰り返し行っても、話すら聞いてくれない荷主・元請事業者などもいる。