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「標準的な運賃」普及セミナー(基礎編)を開催
「『標準的な運賃』の告示を権利として役立てる」森高氏

兵庫県トラック協会(原岡謙一会長)は全日本トラック協会と共催で10月8日、トラック総合会館にて『標準的な運賃』普及セミナー(基礎編)を開催した。講師には、近代経営システム研究所で代表を務める森高弘純氏から、資料を元に「標準的な運賃」告示の背景・概要、「標準的な運賃」の届出方法、運賃料金適用方作成のポイント、「標準的な運賃」検索・計算ツールの活用、荷主との交渉方法の5項目を中心に説明があった。兵ト協会員事業者約40名が参加。

セミナー開催にあたり事務局より「兵庫県の「標準的な運賃」の届出が全国でワーストワン。本日は活用セミナーとなっているが、協会として、行政が将来的なことを考えて示された最低運賃がこの「標準的な運賃」である。実際にもらえる、もらえないを別にして届出をしっかりとしてもらい、荷主やみなさんが意識し合うことが大切ですので、ぜひ届出をしてもらいたい」とあいさつした。

標準的な運賃の告示の背景・概要については、令和6年4月から働き方改革関連法に基づき、トラックドライバーの時間外労働の上限規制(年間960時間)が適用される。また、長時間労働、低賃金等によりトラックドライバーが確保できず、重要な社会インフラである物流が滞ってしまうことのないよう、事業者が人材を確保し、法令遵守を徹底し、持続的なトラック輸送を維持するため、貨物自動車運送事業法が改正され、国土交通省は、令和2年4月、事業者が法令を遵守して持続的に事業を行う際の参考となる運賃として「標準的な運賃」を定めた。

「標準的な運賃」の届出方法については、地方運輸局に「標準的な運賃」の変更届出書を提出し、取引先対して申し入れ・交渉ができるよう準備することからだ。運賃料金変更届出書は、WEBで「全日本トラック協会 標準的な運賃」で検索し、サイト内からフォーマットをダウンロードできる。

運賃料金適用方の作成ポイントについて、運賃料金適用方は、次の3つのことについて定めることができる。標準的な運賃の告示に定めのない特殊車両等の割増率の設定。荷主によって運賃が異なる場合、幅運賃を設定。ニーズにあわせて個建運賃を設定できることだ。

「標準的な運賃」検索・計算ツールの活用については、距離や車種等の条件、割増率・割引率、上限下限率、各種料金等の条件を設定することで、標準的な運賃(運賃表)に基づく運賃、料金、実費を算出が可能だ。また、「標準的な運賃」検索・計算ツールは、全日本トラック協会ホームページからダウンロードして使用できる。

荷主との交渉方法については、まず、日頃から立ち話など会話ができる関係作り。取引先と問題の共有化。取引先から共感を引き出す。誰と交渉するか見極める。交渉上の駆け引き
の5つのポイントが条件の見直しに大切である。

最後に講師の森高氏から「「標準的な運賃」の告示を一つの権利として、みなさんが運賃の交渉をするときに役立ててほしい」と締めくくった。