自動車ニュース
年頭所感― 一般社団法人 兵庫県タクシー協会長 吉川 紀興
地域の声を聞き、協会業務を積極展開
新年あけましておめでとうございます。
令和3年の年頭にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。
      
昨年は、神戸・阪神間地区および淡路島地区において2月より運賃改定が実施され、増収による経営基盤の立て直しや、労働条件の改善、輸送サービスの向上などに期待するところが大きかったものの、年始から新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で運賃改定の効果を実感するどころか、前例のない「緊急事態宣言」が発出されるなど、人の流れが大きく制限されたことや「3つの蜜」の回避、テレワークの推進、旅行や出張を控えめにする新しい生活様式が示されたことにより、タクシー事業にも甚大なる影響を与えることになりました。タクシーは人の異動がなければ需要が発生しないのは当然で、最も需要が落ち込んだ時期(4月、5月)では営業収入が対前年比で4割を切るような悪夢のような事態に陥る時期もあり、当協会でも協会費の免除などの施策で少しでも会員の皆様への負担軽減などに取り組んでまいりました。

この間、我々も全タク連を先頭に、政府・国への支援要望や与党・野党のタクシー議連連盟にも繰り返し要望を行って参りました。その成果として、事業者への経営助成である持続化給付金、資金繰り支援、雇用調整助成金の拡充などが実現しております。また、今月18日より開催される通常国会に上程される「第3次補正予算」(国交省所管)では、補助対象事業者の中に明確にタクシー事業者が明記されており、大いに期待を寄せるところです。特にニューノーマルタクシーなどに採用されている高性能フィルタを備えた空気清浄機の装着、モニターによる空気清浄状態の「見える化」など新技術の活用等による感染症対策を図り地域公共交通の維持・活性化に向けた取り組みに対する補助とのことで、現段階で喫緊の課題と思っております。

また、当協会では、県下41市町に新型コロナウイルス感染防止などの取り組みに対する支援を要望する文書を発信するとともに、地域公共交通会議の席上や幹部による直接訪問を行い支援の要請を行ってきました。神戸市では「妊婦に対するタクシークーポン」の総額2億円弱の配布、三田市や加古川市でも「妊婦クーポン券の発行」、明石市では、「明石市サポート利用券」の配布、姫路市では、1両当たり1万円の補助、豊岡市では、1事業者当たり30万円補助、養父市では1乗務員に20万円支給等の制度が創設され、また、直近では、洲本市、淡路市、南淡路市が感染防止対策の為に1両毎6万円の補助を行うとのお話しを頂きました。

加えて最近の風潮として、地域の公共交通部門のみならず、他部門においてもタクシーに支援の検討を行っていただける向きも強まっており、少しずつ自治体の方々にも地域公共交通としてのタクシーの有効性などをご理解いただけているのかと捉まえております。今後も、“エッセンシャルサービス産業”であるタクシーの維持・継続のために、令和2年度第3次補正予算で「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」(内閣府所管)や「雇用調整助成金」(厚生労働省所管)等の活用が望める場合の検討などを要望してまいりたいと思っています。

改正タクシー特措法については、昨年12月に神戸市域交通圏が準特定地域に移行して初めての協議会が開催され、設置要綱及び地域計画が承認されたところです。今後認定に向けた取り組みを進めることになっています。東播磨交通圏の準特定地域協議会も開催していかなければなりません。
一方、コロナ禍もあってか、県下全体でこの1年間で約800人の減少となっている乗務員不足への対応も大きな課題の1つです。

その他、業界が抱える課題として、4月より始まる「同一労働同一賃金」をはじめとした「労働条件の改善、働き方改革の実現」を皮切りに「運転者職場環境良好度認証制度」、「改善基準告示の見直し」、「インバウンド需要への対応」、「ユニバーサル社会の実現に向けた取り組み」、「交通事故防止及び輸送秩序の確立」、「運転代行業の違法行為への対応」、「ライドシェアーについて規制改革会議、成長戦略会議における議論を注視」「ケア輸送の推進」など、いずれも重要な課題であり、専門委員会での議論を深め、会員各位のご意見をいただきながら協会一丸となって取り組んでいく所存であります。年々輸送需要が減少する状況の中で、お客様の様々なニーズに対応するための取り組みが重要になっていますが、引き続き兵庫県下それぞれの地域において、地域の皆様の声をお聴きして各支部とともに事業活動の積極展開を図ってまいりたいと考えております。

最後に、会員各位の益々のご健勝と事業のご発展をご祈念申し上げますとともに、関係各位の深いご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげまして、年頭にあたってのご挨拶と致します。