自動車ニュース
年頭所感― 神戸運輸監理部 兵庫陸運部長 池田 博美 (1/2)
エッセンシャルサービス提供に感謝
関係機関・団体と連携、地域活性化を

はじめに
新年明けましておめでとうございます。令和3年丑年の年頭にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。

昨年は、新型コロナウィルス感染拡大により4月7日政府より緊急事態宣言が発せられ、5月25日には解除となりましたが、自粛による経済へのダメージは大きく、人々の生活様式も一変させることとなりました。

今なお、感染について予断を許さない状況であり、皆様におかれましても、感染予防に留意されつつ、エッセンシャルサービスを提供し、国民生活の維持にご尽力いただいていますことに心より敬意を表します。

一方、地震・台風などによる甚大な被害は、幸い近畿地方特に兵庫県は免れましたが、今後予想される南海トラフ地震への備えは必須です、昨年も11月5日「世界津波の日」には兵庫県の海岸線に面した市町を中心に約37万人を対象とした一斉避難訓練が実施されました、日ごろからハザードマップを確認するなどさらなる防災意識の向上と、地域、職場での防災・減災対策が重要であると強く認識しているところです。

今年に目をむけますと。延期となった東京オリンピック・パラリンピックの開催が予定されています、そして2025年には大阪万博開催が決定しております。

兵庫陸運部といたしましては、これらを踏まえ、新型コロナウィルスに対しては、正しく恐れ3密を避けるなどの「新しい生活様式への取組」とこれまで取り組んでいる安全・安心を念頭におき、関西のさらなる飛躍・活性化にも寄与してまいりたいと考えております。

地域公共交通の確保・維持について
地域公共交通の活性化・再生については、これまでそれぞれの地方公共団体や地域に適した公共交通環境の構築・維持を図るため、県内各地方公共団体の首長などとの情報交換や意見交換などを積極的に行うとともに、地域公共交通会議などへの参画を通じて、地域における移動手段の充実に努めてまいりました。

さらなる充実に向け、昨年5月「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」が改正されたことを踏まえ、地域が自らデザインする地域の交通や輸送資源の総動員による移動手段の確保のため「地域公共交通確保維持改善事業」などにより、持続可能な生活交通の確保・維持・改善に向けた取組を推し進めてまいります。

併せて、バリアフリー関連につきましては、引き続き、「バリアフリー法」の基本方針に基づくバリアフリー化を推進するとともに、移動に制約のある方々に対する理解の醸成を図る観点から、近畿運輸局などと連携して小中学校などでバリアフリー教室を開催するなど、ハード面だけではない「心のバリアフリー」を幅広い世代に広めてまいります。

交通運輸サービスの発展・利便性の向上について
自動車運送事業のなかで乗合バスについては、特に地方部における交通空白地の増加や少子高齢化に伴う人口減少による輸送需要の減少が進行し、依然として乗合バス事業者の経営環境は大変厳しいなかにあります。その一方で、乗合バスは「地域再生と活性化、高齢者移動手段の確保」の要となっているところであり、将来に向かって持続可能な地域公共交通ネットワーク形成のためにも、地方公共団体と連携し、乗合バス事業者の生産性向上の取り組みにおける具体的な進め方を提案してまいります。

さらに、今後も引き続き公共交通ネットワークの確保・維持に努めるとともに、兵庫県バス協会による企画乗車券「バス旅ひょうご」に代表される利用促進キャンペーンや昨年夏に兵庫県内の公道で初めて運行実験がなされた「自動運転バス」、新年度より本格運行が予定されている「連節バス」、「客貨混載(旅客運送と貨物運送との事業のかけもち)」などの事業の生産性向上の取組みを支援してまいります。

また、貸切バスについては、約5年前に発生した軽井沢スキーバス事故を踏まえ再発防止策としてとりまとめた「安全・安心な貸切バスの運行を実現するための総合的な対策」、信頼回復への一歩として始動いたしました「貸切バス許可更新制度」、「適正化実施機関事業」等の着実な実施と周知をさらに進めてまいります。

タクシーについては、神戸市域交通圏が昨年4月から特定地域から準特定地域に移行しましたが、引き続き準特定地域計画の確実な実施により、事業適正化と併せて積極的な活性化が図られることになっております。
併せて、昨年11月末からは、利用者の多様なニーズに応え、更なる利便性の向上を図るため、一括清算により割安になることが期待される「一括定額運賃」、需要の増減に応じ、迎車料金を変動させることで、新たな需要喚起が期待される「変動迎車料金」の2つの新たな運賃・料金サービスに係る申請の受付を開始しており、さらに配車アプリを通じ、タクシーに相乗りして運賃を割勘する「相乗りタクシー」についても、新型コロナウィルス感染症の感染状況を見極めつつ、導入時期を調整してまいります。

トラックについては、昨年4月に労働条件の改善、事業の健全な運営の確保を図るための「標準的な運賃」を告示したところです。これはトラックドライバーの労働条件を改善するとともに、法令を遵守したトラック運送事業者の皆さまが健全な経営を確保し、事業運営を行う水準となるものであります。

引き続きこの「標準的な運賃の告示制度」の趣旨を荷主の皆様方を含め、積極的に周知するとともに、「ホワイト物流推進運動」の周知、昨年5月に公表された「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けた輸送品目別ガイドライン」の業界での横展開を図ってまいります。
また、運輸業における人材の確保につきましては、「働きやすい職場認証制度」により、長時間労働の是正等に積極的に取り組む事業者の「見える化」を図り、業界のイメージアップ等、人材確保に向けた取り組みをしっかりと進めてまいります。