自動車ニュース
「もう一度初心にかえって、安心安全を」 (八木局長) (1/2)
第13回交通事故防止セミナー開催
近畿運輸局(八木一夫局長)は1月23日、大阪市中央区のドーンセンターで第13回自動車事故防止セミナーを開催した。セミナーには、過去最多の500名近くの参加者が会場を埋めた。

八木局長ははじめに「自動車は、私たちの生活になくてはならないもの。便利な道具である反面、自動車事故という負の面も持ち合わせている。安全を確保して、使っていくのが最大の課題だ。自動車事故の対策は様々な側面があるが、やはり初心に帰って、基本からしっかりとやっていくことが大切。本日のセミナーを機に、改めて今までやってきたことを振り返り、そして、安全をより一層高めて引き続き取り組んでいただきたい」とあいさつした。

セミナーの1部では、国土交通省自動車局安全政策課の森高龍平(※)・安全監理室長が「事業用自動車の安全対策について」と題し、講演した。「2018年中に発生した交通事故全体の死亡者数は3,532人であり、そのうち、事業用自動車の交通事故死亡者数は337人。交通事故全体の死亡者数、事業用自動車の交通事故死亡者数とも減少傾向だが、減少率は低下している」と現状について説明。また飲酒運転による事業用自動車の事故の推移について「2012年までは減少しているが、それ以降は横ばい傾向が続いている。本来であれば0件が当たり前」と語った。安全対策について、まず事業用自動車総合安全プラン2020について説明し「事業者は、運行管理者の選任・運転者の労務管理・点検整備の三位一体で行うことが大切」と述べた。健康起因事故防止について「インフルエンザは潜伏期間後に症状が突然現れる。常務前点呼時において、運転者の体調が正常であったとしても、運行中に体調が急変するケースも発生している。十分に注意していただきたい」と呼びかけた。(※ 「高」は正確にははしごだか)

2部では、大阪大学大学院人間科学研究科の森泉慎吾・助教(博士:人間科学)が「交通安全にまつわる心理学の話題」と題し講演。「経験にかかわらず、人間は条件が重なれば必ずエラーを起こす。また、経験によって増えるエラーもある。思い込みや錯覚などについて、知識や理解を深めれば事故防止につながる」と述べ、診断テストを交えながら理解を深めた。また、技術の過信による弊害として「ハザード知覚能力の向上を目的とした北米でのスキッドトレーニングを実施したところ、訓練により技能過信が促進し、事故が増えた」と過去の事例を紹介。最後に「初心者の心理状態でかつ、経験者のスキルを併せ合わせ持つことが大切」と語った。