自動車ニュース
初乗り距離短縮について意見集約
神戸市交通圏タクシー特定地域協議会(会長=正司健一・神戸大学大学院教授)は6月4日、湊川神社の楠公会館で第5回協議会を開いた。正司会長は冒頭、「今日は公定幅運賃の意見を集約するのがメイン」と会の趣旨に触れた。

神戸・阪神地区(兵庫県神戸市、芦屋市、西宮市、尼崎市、伊丹市、宝塚市、明石市※魚住町瀬戸川以東、川西市、川辺郡、大阪府豊中市および池田市※大阪国際空港内の区域が対象)では、昨年11月13日から本年2月13日の期間で運賃改定申請を実施。申請事業者の割合がいわゆる7割ルールを突破したため(申請率:84.45%)、現在近畿運輸局で審査が行われている。改定の概要は、(1) 現在の中型車・小型車の区分を廃止し、「普通車」に統合。(2) 普通車初乗距離1.1〜 1.8km(現行1.8km)、初乗運賃440〜700 円(現行上限運賃:中型車680円) の大きく2点。タクシー特措法では、公定幅運賃変更の際、協議会が設置されている場合は、協議会で意見の聴取を行い、近畿運輸局へ意見書の提出が必要となる。

公定幅運賃の変更(運賃改定) に関して、阪急タクシーの鈴木雅司代表取締役は「東京や京都、名古屋では初乗り短縮という流れがあるが、神戸・阪神間は1回あたりの輸送が短いという特性がある。初乗りを大きく短縮すると、実改定率を確保しようとした場合に、長距離にしわ寄せが大きくなり、客離れにつながる」と意見を述べた。

私鉄関西ハイタク労働組合連合会の田中滋修副執行委員長は「利用者からの目線では、短距離でも気持ちよく乗れるのが大前提だが、(短距離の乗車に対しての乗務員の態度について)苦情がある。乗務員の質の向上に取り組むのが先決。全ての労働者の労働条件が上がることに期待している。(一番分布の多い)650円1.5kmが妥当だと考える」と極端な初乗り短縮には反対とし、神戸市都市局計画部の竹本真也交通担当部長は「ちょい乗りで気持ちよく乗せて頂ければ、いい改定になるのでは。採算面もあるが、利用者の利便性の向上に取り組んでいただきたい」と消費者側からの意見を述べた。

協議会は地方公共団体、タクシー事業者、労働組合、地域住民、学識経験者などから構成されているが、当日は兵庫県消費者団体連絡協議会と神戸市消費者協会が急遽欠席となったため、6月12日の神戸・阪神間地区タクシー運賃改定に関する懇談会で消費者側からの意見を確認することとなった。正司会長は「全ての団体の意見を集約し、意見文とする」とし、会を締めくくった。