自動車ニュース
年頭所感ー兵庫県バス協会会長 長尾真 (1/2)
新年、 明けましておめでとうございます。皆様方におかれましては、平成 31年の初春をお健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。

昨年のわが国経済は、 GDPの成長が依然続いたものの、 実質的には集中豪雨、 台風、地震といった相次ぐ自然災害の影響により厳しい状況で推移しました。
私どもバス業界は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、また2025年の大阪万博も開催が正式に決定し、需要の高まりは期待される一方、乗務員不足の問題は厳しさを増すばかりで、ご利用が一定数ある路線であっても減便・休止といった苦渋の決断を下さなければならない程の深刻な問題へと発展しております。また燃料価格につい ては一時と比べますと低下しましたものの、 産油国の減産等、まだまだ予断を許さない 状況となっております。
新年の挨拶には相応しくないかとも思いますが、前述しました課題を含めバス業界が直面しております重要なテーマを以下の3点申し上げます。

1点目は、 貸切バス事業の適正化についてです。
平成28年1月15日に長野県軽井沢町で発生したスキーバス事故を受け、 「安全・安心な貸切バスの運行を実現するための総合的な対策」が取りまとめられました。そして、貸切バス事業者への輸送の安全と法令順守に関する指導を行う機関として、近畿圏でも一 昨年「一般財団法人近畿貸切バス適正化センター」が設立されております。 我々バス事業者は、本対策の主旨である安全・安心の向上のため、 当該機関の指導に期待しつつ、各事業者が自主的な改善に日々取り組むことが重要です。さらに、 安全• 安心な輸送サービスを継続し、より一層向上していけるよう、貸切バスの新運賃・料金制度の厳守と安全・快適な輸送サービスヘの投資を積極的に行っていくことが求められます。 国内だ けでなく、増加する訪日外国人やこれから開催される国際的な催事に備え、過去に発生 した過ちを繰り返さぬよう、今後も業界全体を上げて安全意識の向上に取り組んでまいる所存です。

2点目は、 MaaS への対応および自治体との連携強化についてです。
MaaS の実現は、都市部では移動の効率化による交通渋滞や環境問題、地方部では交通空白地や交通弱者対策などの課題解決策として期待されています。 国内では異業種の大手企業による MaaS 領域での提携が相次いでおり、互いの得意分野を融合してモビリティサービス市場へ進出する動きがあります。 既存乗合バス事業者としましては、 バスの運行データのオープン化などによる協力や異業種連携とともに、移動手段としてユーザーに選択いただける交通体系の構築を目指し、都市内交通では多様な需要への対応、地方部では需要の特性に合わせた輸送形態への転換等、自治体との協議・連携の強化を図りたいと考えています。