自動車ニュース
年頭所感―神戸運輸監理部兵庫陸運部長 成久博康 (2/3)
地域公共交通の確保・維持について
地域公共交通の活性化・再生については、それぞれの地方公共団体や地域に適した公共交通環境の構築・維持を図るため、県内各地方公共団体の首長などとの情報交換や意見交換などを積極的に行うとともに、「地方公共交通の活性化及び再生に関する法律」や「地域公共交通確保維持改善事業」などにより、路線バスをはじめとする生活交通の確保・維持・改善に向けた取組を支援してきたところであります。

また、自家用車の運転に不安を持つ高齢者による運転免許返納が増加するなか、自家用車に依存しない生活環境の整備が求められており、兵庫県内の各市町における地域公共交通会議などを通じて、地域における移動手段の充実に努めてまいります。

併せて、バリアフリー関連につきましては、引き続き、「バリアフリー法」の基本方針に基づくバリアフリー化を推進するとともに、移動に制約のある方々に対する理解の醸成を図る観点から、小中学校などでバリアフリー教室を開催するなど、ハード面だけではない「こころのバリアフリー」を幅広い世代に広めてまいります。

交通運輸サービスの発展・利便性の向上について
自動車運送事業のなかで乗合バスについては、特に地方部における交通空白地の増加や少子高齢化に伴う人口減少による輸送需要の減少が進行し、依然として乗合バス事業者の経営環境は大変厳しいなかにあります。その一方で、乗合バスは「地域再生と活性化、高齢者移動手段の確保」の要となっているところであり、将来に向かって持続可能な地域公共交通ネットワーク形成のためにも、地方公共団体と連携し、乗合バス事業者の生産性向上の取り組みにおける具体的な進め方を提案してまいります。

さらに、今後も引き続き公共交通ネットワークの確保・維持に努めるとともに、昨年の兵庫県バス協会による「平成30年度バス旅ひょうご」や「客貨混載(旅客運送と貨物運送との事業のかけもち)」などに代表される利用促進キャンペーンや事業の生産性向上の取組を支援してまいります。

また、貸切バスについては、約3年前の軽井沢スキーバス事故からの信頼回復への一歩として始動いたしました「貸切バス許可更新制度」、「適正化実施機関事業」等の円滑な実施と周知に努めてまいります。

タクシーについては、神戸市域交通圏の特定地域指定期限が最大3年間延長されることとなりました。特定地域計画の確実な実施により、事業適正化と併せて積極的な活性化が図られることになっております。併せて、相次ぐ自動運転実証実験やインバウンドにおける白タク類似行為、そして配車アプリの導入など、タクシー事業を取り巻く経営環境が激変しているとの認識のもと、機を逸することなく対処してまいります。

トラックについては、「トラック輸送における取引環境・労働時間改善兵庫県地方協議会」が、来年度以降5年度に渡り継続されることとなりました。昨年11月にとりまとめられた「取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン」の普及などを通じて、重大な事故につながる恐れのある長時間労働の抑制などの労働環境改善への取り組みを、トラック事業者・荷主企業とともに進めてまいります。

また、バス・タクシー・トラックの全ての自動車運送事業における深刻な乗務員不足については喫緊の課題と認識し、それぞれの事業経営の効率化や生産性の向上、そして若年層や女性の労働力活用など、官民をあげた取り組みを進めてまいります。