自動車ニュース
ウエスト神姫 自動運転EVバスの実証実験 (2/3)
――乗客の感想はいかがでしたか?

伊藤氏:スーツケースを持ち運んでいるSPring-8利用者から、「すぐに導入してほしい」と強い要望がでました。また、17時頃、台湾から10人のスーツケースを持った研究者が到着したのですが、実証実験が16時に終了しており、残念がっていました。実験を通して幅広いニーズがあることがわかりました。

――実証実験で発見した課題について、車両性能の面から教えてください。

今回導入した「NAVYA ARMA」には、現段階で追い越し機能がありません。そのため、走行空間を駐車禁止にしていました。しかし、物流関係の車が停車し、動けなくなることが何度かありました。今後は、クルマに追い越し機能を付けるか、駐車禁止を徹底するなどの対策が必要です。

――課題も多く見えているようですが、実用化までの道のりは遠いでしょうか。

伊藤氏:自動運転車は万能ではないからこそ、人が合わせていく必要があると思っています。万能を求めれば求めるほど、何度も停まったり、速度が落ちたりと利便性も悪くなり、使いにくくなる側面もあると思います。自動運転車にはドライバーが不在で、普通のクルマではありません。全ての課題を完璧にクリアしようとすると、いつまで経っても実用化しないのではないでしょうか。何ができて何ができないのか、それを理解したうえで上手に使っていく社会の意識改革も必要です。何かあった時に誰がどう対応するのか、マニュアルの作成や教育訓練により、地域ぐるみでリスクを分散していくことが大切です。間違いなくメリットはあります。いかに自動運転を使いこなすかという視点で、まずは狭い範囲で実用化できればと考えています。