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坂野近運局長、兵庫県自動車関係団体との懇談会
兵庫県自動車関係団体連絡会は、坂野公治・近畿運輸局長と各団体長との懇談会を11月13日、神戸市東灘区魚崎浜町の兵庫県自動車会館で開催した。

団体を代表して兵庫県レンタカー協会の藤本譲治会長は「坂野局長は以前(平成17年〜同18年)には、近畿運輸局企画振興部長、同企画観光部長を務められ、近畿にも精通され、また本省においては、航空、海上保安、観光等幅広く活躍、行政に豊富な経験と知識をお持ちで、局長としてお迎えでき望外の喜びであり大変心強い。坂野局長には各団体が抱える諸課題の改善と解決に向け、現状をお聞き取りいただき、変わらぬご指導・ご支援をお願い申し上げます」と歓迎の挨拶を述べた。

これを受け坂野局長は「10年余り前、近畿運輸局に務め、当時は関西は元気がなかったが、今はインバウンド等に支えられ、景気も少し上を向いている。しかし、高齢化、人口減少社会を迎え、労働力不足の問題など交通運輸をめぐる諸課題は一層深刻化している。昨年のスキーバス事故を受けて、国民の輸送の安全確保により一層関心が高まっている。近畿運輸局に課せられた、地域のヒトとモノの円滑なモビリティの確保を第一として、交通運輸事業の健全な発展に力を注ぎたい。利用者や地域の目線に立ち、コミュニケーションを密にして、問題意識の共有を図ると共に、行政と業界の役割分担を踏まえながらさまざまな施策に取り組んで参りたい。道運法の改正でバスの適正化実施センターが発足した。安全確保はコンプライアンスの遵守に他ならず、最優先に取り組んでいただきたい。利用者ニーズに対応して活性化を図ってほしい。消費の増大によって、新しい知恵と工夫で実った果実を自分のものとしていただきたい。ヒトとモノの双方の足の確保が重要で、地域の交通問題解決に柔軟に対応、支援したい。最後に、人材の確保である。私どももセミナー等を開催して支援しているが、人を使わない省力化、ICTの活用や、トラックの荷主との長時間労働の抑制など事業効率化や、省力化を目指していただきたい。どうか生産性向上に向けた取り組みをお願いしたい」と要望と施策を述べて挨拶した。

長尾真・兵庫県バス協会長は「乗合は都市は順調に推移、しかし群部・農村部は低迷で変わっていない。貨客混載輸送で支援もお願いしたい。『バス旅ひょうご』でバス利用活性化を目指して自治体等と展開している。将来の自動運転に向けての取り組みで、バス事業の地域全体としての交通体系づくりについて、今後当局の指導をお願いしておきたい。貸切バスは新運賃により収支は黒字を確保しており、これは安全確保にも向ける。インバウンドで関空において違法な自家用による旅客送迎行為(白タク行為等)が問題で警察等と連携され取り締まりをお願いしたい。ドライバー不足が深刻で待遇改善に地方バス維持のため補助金の増額に支援いただきたい」と要望した。

吉川紀興・兵庫県タクシー協会長は「ドライバー不足、少子高齢化、利用者減、運転者代行、自家用有償運送等と事業運営には大変厳しい。稼働率も65%と落ち込んでいる。神戸市特定地域の適正化・活性化を策定したが、一日も早い認可をお願いしたい。バスと同様、関空における白タク行為の取り締まりをお願いしたい。さらにジャパンタクシー導入に向けてUD研修もしているが、助成金の充実もお願いしたい」と要望した。

福永征秀・兵庫県トラック協会長は「当面の課題として交付金の満額交付を支援いただきたい。我々は常々軽油取引税の暫定税率の撤廃を要請しており、後押しをお願いしたい。また高速道路の軸重規制の緩和もお願いしたい。ドライバー不足も深刻で、荷主の協力で長時間労働改善のパイロット事業を展開している」と現状報告と課題を述べた。

橋本一豊・兵庫県自動車整備振興会会長は「定期点検の完全実施を支援していただきたい。人材不足で高校生を対象に紹介フェアを開催、今後は高校生インターンシップも計画している。先進技術の取得に向け支援をお願いしたい」と要望した。

前野博司・兵庫県個人タクシー協会長は「法人タクシーと同様、特措法については独自の活性化対策を展開中で、語学研修(インバウンド対策)事業者研修(マナーアップ)、バリアフリー研修、福祉活動(車イス寄贈等)を実施した」と報告、その他出席の団体長から現状、課題について報告があった。

最後に坂野局長から「人材不足は各団体の共通課題であり後押ししたい。一方で業界の省力化にはしっかり取り組んでいただきたい。税制問題は色々と利害関係もあるが、声を上げていただくことかと感じる。バスの補助金等は効率化で本省にも上げたい。関空における(中国人の)白タク問題は警察とも連携してしっかり取り組みたい。事業の活性化については、前倒しして取り組みをお願いしたい」と述べた。