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芝浦工業大学、交通インフラに依存しない渋滞予測手法を考案
芝浦工業大学(東京都江東区 学長:村上雅人)の伊東敏夫教授(システム理工学部機械制御システム学科)は、交通状況に伴い、無意識のうちに変化するドライバーの運転動作から渋滞の前兆を推定し、渋滞を予測する手法を考案した。

渋滞は、交通量が増えてきた状態で、前方の車がブレーキを踏むことなどにより減速することで、それが後続車に波及して起こることが原因の一つとされている。この渋滞の発生メカニズムから、「速度はまだ落ちていないが交通量が増えてきた状態を検知することができれば、渋滞が発生する可能性が高い状態をとらえることができるのではないか」と考えたという。
ドライバーが個々に持つ特徴(クセ)と、交通状況の変化に伴ってドライバーの運転動作が無意識のうちに変化することに注目し、「アクセルの踏み込み具合」「ハンドル操舵角度の変化」「速度の変化」という3つの要素を解析することで、そのドライバーの特徴(クセ)を認識し、車両密度が低く自由に走行しているときから車両密度が高くなってきたときの運転の変化と特徴をとらえ、渋滞の前兆である「速度はまだ落ちていないが交通量が増えてきた状態」を推定する手法を考案した。

この手法による渋滞予測システムは、自車両の運転動作データを解析するソフトウエアを開発するだけで実現可能であるため、道路側のインフラに依存することなく、また新たにセンサーなどを搭載する必要もないため、ローコストでの導入が可能となるという。
このような、各ドライバーが持つ無意識の動作から渋滞を予測するというアプローチはこれまでになく、現在この技術は特許出願中とのことだ。

また、この手法は、渋滞の予測だけでなく、気分や体調によって変化する無意識的な運転行動の変化をとらえ、その異変をドライバーに知らせるといったシステムの構築への応用も可能で、これが実現すれば、車と人との新しい関係性や魅力を構築する可能性のある技術になるという。