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なぜダイムラーはcar2goなのか?「車離れ」でも成立つビジ
 ダイムラーが2008年にドイツのウルムでcar2go(カーツーゴー)を開始したことを皮切りに、欧米の大都市圏で移動スタイルに変化が起こっている。「思い立った時に自動車を借りる」という感覚だ。その仕掛け人が自動車メーカーだから驚きだ。
 以前より欧米では、環境への関心の高まりや自動車の固定費の削減のため、会員間で特定の車両を共同利用するカーシェアリングに対する考え方が定着してきていた。
 ドイツで以前から車両を共有する動きはあったが、カーシェアリングは1988年頃からベルリンで流行り始めた。Greenwheels(2006年以来)の前身であるStattAuto Berlin(シュタットアウト・ベルリン)が事業を開始し、1990と1991年にアーヘン、ブレーメン、フライグルなどに新たな組織が生まれていった。
 現在では政治活動を全国・地域レベルで行うBundesverband Carsharing(ブンデスフェアバント・カーシェアリング、全国カーシェリング協会)が普及活動を推進するまでになった。ドイツのカーシェアリング•プロバイダの統括組織だ。交通機関や環境団体と連携、メディアを通じた普及活動、業界の観測開発などを行い、会員に向けて円滑な利用のための情報提供、運営サポート等を行っている。会員は約100プロバイダーにのぼり、2012年1月現在、貸出か所は309か所、利用登録会員は22万人、貸出車両は5600台だ。
 カーシェアリング会員が単に増加傾向にあるだけならば、日本と同じく西ヨーロッパでも、若年層が自動車所有をステータスと感じず、1日の大半を使用せず駐車したままになることは不経済と考える時代背景を反映していると結論付けやすい。
 しかし、このところカーシェアリング業界がにぎやかな理由に、製造販売業と相反するカーシェアリングに、自動車メーカーが積極的に参入してきていることにある。ベルリンでよく見かけるのはダイムラーの『car2go』やBMWの『Drive Now』などだ。LIGAREでは、12月号と1月号でcar2goを中心になぜ自動車メーカーがカーシェアリングに参入するかに迫る。

car2goのショップを覗いてみよう
 ドイツ国内でcar2goのサービスを受けれるのは6都市。開始年の順番にウルム、デュッセルドルフ、ハンブルク、ベルリン、ケルン、シュトュットガルトだ。
 ベルリンでのcar2goの入会方法(都市により異なる)はインターネットで必要事項を入力し、運転免許証、IDカード、銀行のカードを持参し最寄りのショップで登録を行い、メンバーズカードを受け取る。Europacar会員は事前入力がいらず、所定の窓口でEuropacar会員カードを提示するのみ。BVG会員は所定の窓口で登録作業を行い、郵送でメンバーズカードが送られてくる。 
 試しにベルリンのショップを訪ねてみた。ベルリンのテレビ塔があるAlexanderplatz(アレキサンダープラッツ)近くにあり、「どこにあるのかなー」と探しながら歩くと、日本では見られない光景が突如現れる。car2goのsmart fortwo(スマートフォーツー)がたくさん路上駐車されているのだ。中には電気自動車もある。car2goの車両が置かれている専用駐車場なるものはなく、これがベルリンのスタイルらしい。
 木曜日の14時頃にも係わらず、登録に訪れる人が後を絶たない。大学生くらいのグループや一人で登録に訪れる女性、60歳を超えているだろう男性も訪れており、幅広い層に指示を受けていることが分かる。

続きはLIGARE12月号で