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【特集】高校生でも運転できる! 欧州の超小型モビリティの実情 (2/2)
 L6e、L7e ともに、設計最高速度、車両質量は現行の枠組みの基準を踏襲しているが、L6e の「mini-car」に「全長 × 全幅 ≤ 4.4平方メートル、かつ、全幅 ≤ 1.5メートル」の寸法定義を設けており(L7e は寸法定義無し)、乗員輸送用「passenger transport」については、運転者を含む乗車定員をL6e で2 名、L7e で4 名に制限している。

 また、欧州だけでなくアメリカでは通常の乗用車の速度より遅い低速車(LSV)を定義し、車両の寸法の定義はなく、速度(時速32 〜 40 キロ)と重量のみ定義し運用している。欧州ではL6e、L7e の一般道での通行規制は設定されていないが、LSV の通行規制では、州の権限で規定されており、走行できないのは4州のみだ。その他の州では、走行可能な道路と最高速度を設定している。30 の州では「時速56 キロ以下の制限速度が示された道路」と「最高時速40 キロ」の通行規制を採用している。欧州のL6e やアメリカのLSVも日本の軽自動車よりも大きな車両がほとんどだった。


免許証制度
 免許制度については、欧州の「Quadricycle」(L6 相当)では免許なしで運転許可を各国で認めている。
 軽量クワドリシクル《ヴォアチュレット(Voiturette)》の安全性に関する意見書(2008 年3 月)によると、

 フランス :16 歳以上であれば免許無しで運転可能(1988 年以降生まれについては、所定の講習が必要)
 イタリア :14 歳以上であれば免許無しで運転可能
 スペイン :14 歳以上であれば免許無しで運転可能
 英国 :17 歳以上であれば免許無しで運転可能
 デンマーク :18 歳以上であれば免許無しで運転可能
 ノルウェー :18 歳以上であれば免許無しで運転可能
 その他 :16 歳以上であれば免許無しで運転可能

 となっており、日本の高校生の年齢で乗れることになる。

日本との違いは?
 安全面については、国土交通省が行った調査によると、車両の性能要件に関して、米国、カナダでは車両の構成部品の基準は、「装備されていること」のみが求められている現状だ。一方、欧州は上記に加えて各部品の性能要件を設定している。しかし、欧州、米国、カナダとも、衝突安全に関する基準は設定がない。
 調査結果では、フランス、オーストリアにおける超小型自動車に類する車両の事故の傾向から、「郊外に居住する高齢の運転者が、昼間、同乗者を伴わずに、酒気帯び状態で近距離圏内を走行し、交通ルールを違反した結果、事故を起こしている」という状況が想像されると明記されており、高齢者の事故が目立つ結果になっている。
 さらに、これらの車両の致死率が乗用車に比べて非常に高い理由は、車両に衝突安全基準が適用されていないこともあるが、利用者の多くが高齢者であることも一因と分析されている。