自動車ニュース
日産自動車、EVが切り開く新たな可能性 (3/3)
エネルギーマネジメント
 自動車は、大半が止まっている状態です。電気自動車は、止まっているときは自動車から大容量のエネルギーを供給するインフラにもなります。リーフは一般家庭(5 人家族一戸建てを想定)の平均使用量2〜3日分を蓄電できる大容量のバッテリーを積んでいます。この電池を使い、家と電気自動車の間でうまくやり取りすることで電力のピークシフトに貢献し、さらに非常時のバックアップ電源にもなります。
 そこで「LEAF to HOME」をニチコン株式会社と共同開発し、先月から発売を開始しました。
「LEAF to HOME」を利用すると太陽光発電を活用している家の発電量を、インフラとして上手く活用できます。一般家庭の平均電力使用量と発電量のグラフを見ると、昼間の余剰電力を充電に充てることで十分な電力が得られることが分かります。現在は家庭で発電した電力の買い取り制度により初期投資の回収を行うという事がされているが、今後、売電ばかりが続き買電の量が一定値を超えるとスマートグリッド内でのバランスがおかしくなります。
 
 そこで余った電力をそこでうまく使う(昼にためて夜使うなど)という地産地消を促す必要があるとも言われており、これについては現在、経済産業省と話し合いを進めています。現在は、発電した電力のうち4割しか利用されていませんが、EV を使うと7割利用できるという試算が出ています。理論上、70台のリーフを用いて8.5% のピークカットが可能であると言われています。
自治体とともに節電チャレンジも行っています。大阪では、250 台のパワーコンバータシステムを用意し、ピークカットに貢献しようというプロジェクトを行っています。200 台を一般家庭向けに無償で貸与する呼びかけを行ったところ、2000 件以上の応募があり、取り組みへの注目度の高さが伺われました。消費者に試していただくことで今後の製品開発に活かしていきたいと考えています。こうした節電チャレンジを様々な自治体と協力して行っていきたいと考えています。

超小型モビリティの価値
 小回りのきく2 人乗りの自動車は満たされないニーズを満たしていく可能性を持っています。つまり、高齢化や社会行動の変革に合わせられるモビリティが超小型モビリティなのではないかということです。今までの自動車の守備範囲はそれなりに長く走り、それなりに多く載せられるもので、その中の最小が軽自動車でした。
 一方、もっともプリミティブ(原始的)な移動手段が一人の徒歩移動であり、それらの間に空きがあります。距離と人数の平均をとると現在の超小型モビリティの範囲の中心に当てはまりますが、今までここに位置づけられる乗り物がなかったことから、超小型モビリティの守備範囲は相当広くなることが予想されます。

 乗用車1 台の区画には超小型モビリティを3,4 台止められます。パワーパーキングやバイクの駐車スペースにも止めることができます。
ガイドラインにあるよう各地での実証実験を見ると旧市街地の細い路地や、荷物の積載、シートベルトの設置がなされています。
 横浜では2 期までの実証実験が終わっています。今後は自動車と混ざって走行する実験からその問題点を明らかにしていきます。またこうした実証実験は公益目的で終わるのではなく最終的にビジネスとして定着させなければならないと考え、ビジネスモデル化することを最終目的に実証実験を行っています。
 
 先週末、兵庫県淡路島での実験について発表が行われました。自動車のルートが本州と四国につながったことで観光地として観光振興という側面、高齢化によって合理的な交通機関が無くなったことから高齢者支援の側面から超小型モビリティの導入が必要な地域です。
今後2 週間の実証実験が行われます。他にも、目的は様々ですが、こうした実験を各地の自治体とともに始めているところです。
 このように超小型EV は、自動車であること以上に、エネルギーのインフラとしてどう活用するか、あるいは新しいモビリティをどう提供できるかというところで将来のスマート社会の実現に対して、貢献できる・貢献しなければならない領域であると考えています。

会場参加者との意見交換では

 Q.中小企業も車を作れるのではないかという望みを持っています。しかし、大手が入ってくるマーケットでは中小が参入しにくいという機運がありますが、大手メーカーとしては、中小が何とかしていこう、という市場をどうしたいと思っていますか?

 A.(市場については)未知数なところではありますが、本格的に参入するには実証を重ねるなどかなり時間がかかると思われます。
中小を一切排除するものではありません。最終的に競争になるかもしれませんが、その経験知見のないところで経験知見を分け合うとか、知恵としていただくとかいう方向になっていくのではないでしょうか。対決どうこうではなく、お互いの知見を上手く活かし合いたいというのが思うところです。