|
||
事故の背後に行き過ぎた規制緩和、しかしバスは消滅はしない |
||
兵庫県バス協会(上杉雅彦会長)は6月15日、神戸市内の楠公会館で平成24年度通常総会を開催、平成23年度収支決算、新年度事業計画を原案どおり承認、役員補充は新理事に高田幸泰氏(神戸市交通事業管理者)、庄田徳男氏(伊丹市自動車運送事業管理者)、川嶋勉氏(神鉄バス社長)を選任した。 上杉会長は冒頭挨拶で「当面する課題について述べたい。高速ツアーバス関連で、去る4月29日関越自動車道で46人の死傷者を出す重大事故を惹起した事は承知の事と思うが、実は以前のあづみの観光バスの事故を受け国交省はその対策を検討中に、先じること平成22年9月、総務省から貸切バスの安全確保にもとづく行政評価につき監査勧告が出され、その内容はまことに厳しいもので、要は国交省は何をしておるのかと言うものだった。これを受け国交省は、貸切バスの安全確保と高速バスと高速ツアーバスとの競合問題が年々大きくなり「バス事業の在り方検討会」を立ち上げ、議論を重ね2年がかりで結果を公表した直後の事故でした。この事故が大きな社会問題となったため、政権与党の民主党が、国交省にまかせておけないとして国交・厚労部門の合同部会で6月5日、再発防止対応策を国交省に出した。要点は事故の背景に行き過ぎた規制緩和があったとして、バスの参入規制、バス事業の更新制の導入を盛り込んでいる。ここで私の『私見』でありますが、今回の問題は平成12年の貸切バスの規制緩和により、今回の事故は起こるべくして起った事故と認識する。当時は私は人命を預かる事業は規制緩和するべきでないと重ねて主張してきたが、当時小泉政権下では規制緩和ありきの大合唱の下、議論が先行した。その結果、事業者数は2倍に、大半は10両以下の小規模事業者。当然の事に競争激化、運賃低下、労働条件の引き下げ、つまり運転者の過重労働、行きつく先は事故だ。今回の事故で規制緩和の根幹である参入は原則自由、事後チェックの強化は根底からくずれた。許可取消しとなった業者の陸援隊は日雇運転手、車両の名義貸し、運行指示標なしと、考えられない業者の存在が明らかとなった。幸いな事に日バス協会員ではない。今後670kmの見直しとか、ドライバーの拘束時間の見直しが行われるが、本質的にはこんな対処方法でなく従来から日バス協が主張している参入規制強化、事前チェック強化にカジを切らないと次々と問題が出る。しかし参入者は全て参入が終ったと思われる。事業許可の更新制度によってしか歯止めはかけられない。今回の事故で利用者はより安全なバス事業者を選択してくれるので、これは追い風と受けて良いと思う。しかし新高速バスについては、一国二制度の解消で新ルールは出来たが、大手の高速ツアーバス業者は新高速バスに移行してくるが、中小の業者は資本力がなく従来型のツァーバスで残る可能性大だ。従って一国二制度は変らないとみている。さらに公正な競争と言え、1年以内に我々が永々と築いた主要バスターミナルに新規参入者がくる。言いかえれば開放だ。200km以上が新高速バスの定義だが、東京―大阪間が注目されるがその内飽和状態となるだろう。そうすると新規参入業者は起点を変えて収益性の高い所をねらってくるだろう。競争は増々激化すると思われる。次に貸切安全性等評価認定の取得です。重大事故で安全性の証明が必要となってくる。需要喚起にもなる。申請の簡素化に務めており取得下さい。次に交通基本法の成立は無理かと見ている。民主党のマニュフェストとは何だったか納得いかない。予算は先取りで地域公共交通確保維持で大幅な増額を受けており支障はない。次に消費税改定関連であるが日バス協運賃委員会で検討中だが、要は事業者が同一歩調を取らないと利用者が混乱する。貸切りは転嫁できるが、ツアーバスは難しい面がある。最後になるが運輸安全マネジメントのPCADサイクルを確実に実行して下さい。安全と言う土台あってこそ事業が出きることを肝に銘じて頂きたい。時代がどの様に変っても市民の足としての乗合バス、観光産業における貸切バスが消滅することはない、この事を頭において事業にご努力下さい」と事業者の団結と当面する課題について述べた。 |