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震災から1年、“EDV-01”が示す都市のあり方 (1/3)
 大和リースでは昨年1月、国内外の被災地において、応急仮設住宅の建設を行ってきた。その経験をいかし、緊急災害ユニット“EDV-01(Emergency Disaster Vehicle:緊急災害輸送手段)”を発表した。
 その直後の3月、東日本大震災では、地震と津波でライフラインが寸断され、何の補給もない状態での生活を余儀なくされたいた避難所も多く、国・自治体・企業などでは、災害時にエネルギー供給のあり方が注目されている。
 こうした背景からも、大和リースが開発した“EDV-01”への関心が再び高まっている。そこで、大和リースの小林秀人氏(新規事業推進室長)へのインタビューを通じ、近未来の都市像(̶昨年の震災以後、急速に変化しつつある都市のあり方など)について、震災から1年が経った“今”だからこそ、改めて考えてみたい。
 スマートグリッドが進む一方で、災害時にエネルギーの送電網が寸断された場合、一体どうなるのかという不安もある。同時に広まりつつある“オフグリッド”についても考えみたい。


震災を超えて - ライフライン確保の重要性

 昨年の3月11日だけでなく、日本では、常に大規模な地震災害に見舞われてきた。先の震災では、災害時にエネルギー供給源を確保することがいかに大事か、改めて我々に知らしめた。
 震災直後に緊急対応を担うはずの自治体や避難先の避難所までもが電力供給を失い、通信が遮断されたことで、災害後の対処をより難しくさせた。こと東日本大震災においては、電力供給の遮断が福島原発の事故を引き起こし、深刻な事態
に直面したことは、記憶に新しい。
 さらに、避難所などで災害時の補給が来るまでのライフラインをどう確保するかが浮き彫りになった。こうした声に応えるのが、同社がすでに開発を進めてきた“EDV-01”だ。
 “EDV-01”は、太陽光発電のエネルギーと水素燃料電池という2 つのエネルギー確保の手段に加えて、リチウムイオンバッテリーを搭載しているため、蓄電も可能だ。こうしたいわば「自家発電」や「蓄電」の技術を備えれば、災害時に消防や電力会社などが、ライフラインの無い状況でも活動でき、基地やエネルギーステーションとして利用できる。
 さらに、今回の震災で避難者が電源を確保できなかったことや、基地局の損壊などにより、携帯・テレビなどの通信機器からの情報が入手出来なかったことも、緊急対応を遅らせ、避難者の不安を増幅させることにつながった。
 “EDV-01”ならこのような状況を打開できたのではないだろうか?

 一方で小林氏は、東日本大震災で浮き彫りになったもうひとつのリスクについて「東日本大震災において、仮設住宅の建設が大幅に遅れたことには、津波の被害や原発事故に伴う建設用地確保の問題が大きかった」、「エネルギー供給源を確保することも当然重要だが、そうした『場所的なリスク』に対して、政府、自治体、そして企業がどのように準備し対処していくかも大切」だと指摘した。