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検電器で感電対策、EV・PHVに求められる安全な作業手順は?
 電気自動車の普及が進むなか尼崎市にある長谷川電機工業はこのほど、事故やメンテナンス時に電気自動車やハイブリット車に漏電がないか確認する電気自動車用検電チェッカ『EVボルチェック』(HEV 750D)を開発し販売を開始した。
 もともと、同社は電力会社やJRなどに工事や工業用の検電器を開発・販売している国内大手の検電器専門メーカ。
 この『EVボルチェック』の開発に携わった吉田洋二郎・常務取締役と姫野秀雄・営業部次長に開発に至った経緯など話を聞いた。
 開発のきっかけは、これまで取引のあった消防署から、「電気自動車が事故を起こした場合、感電対策はどうしたらいいのか」「どの商品を使用すれば良いのか、教えてほしい」と問合せが増え始めたことだという。
 そこで、同社は電気自動車やハイブリット車用の検電器を約1年かけ独自に開発した。
 「感電・漏電は目に見えないだけに、特に注意が必要」(吉田取締役)でこれまで、自動車のメンテナンスを行ってきた整備工場などにとっては新たな問題になりかねない。「直流は関電した場合、筋肉が硬直し動けなくなる」(姫野次長)など交流よりも危険で、「電気工事の世界では42Vを生命の危機に瀕する意味で『死にボルト』と呼ぶ」(姫野次長)など感電の危険性とその対策の重要性が益々求められている。
 電気自動車やハイブリット車は制御系低圧バッテリー(12V24V)とモーター駆動用の動力系高電圧バッテリー(100V〜360V)を搭載している。国土交通省ではすでに、感電に対する安全対策として「道路運送車両の保安基準」を一部改正し平成24年7月1日以降に製造される電気自動車やハイブリット車に対し関電対策の義務付けを行う。
 一方で、事故時などの車体が破損した際、壊れ方によっては感電などの危険が伴うこともあり、安全確認の為の作業手順などはまだ普及されていない。
 この『EVボルチェック』は特に危険な動力系の高電圧か制御系低電圧かと判別でき、漏電レベルを音や光で3段階に判別できる。
 事故現場などのレスキュー作業でも使用できる性能で、バッテリー切り離し後の残留電荷を素早く放電出来る機能も搭載している。
 検電器だけでなく、その使用方法・安全対策の普及などが益々求められている。