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高速ツアーバス 不平等な競争の是正へ (2/2)
 平成14年の規制緩和で乗合バス事業への新規参入が容易となったことに加え、平成18年にはツアーバスの参入も容認され、バス事業に参入する事業者が相次いだ。
 
 乗合バスの最盛期(1968年)には101億人の輸送人員も現在では半減し、43億人。輸送人員が減り続ける中で、規制緩和により増加した事業者は乗客を囲い込む為、熾烈な競争を繰り広げている。
 
 特にここ最近、事業者間の競争の中で、高速ツアーバスの安全性について懸念の声が上がっており、国土交通省も高速ツアーバスの問題に注目。昨年の12月からバス事業のあり方検討会などで有識者や事業者などを交え意見交換を行っている。
 
 国交省は1月末現在で約3回の検討会を開いており、高速ツアーバス連絡協議会、JR連合や交通労連が示した資料を基に議論が進めた。
 
 委員は学識経験者を始め、貸切バス関係者から高速ツアーバス連絡協議会。路線バス事業者側から日本バス協会。労働者関係団体から全国交通運輸労働組合連合会。日本鉄道労働組合連合会、日本私鉄労働組合連合会などの関係者など。
 
 第2回目の検討会(1月14日開催)では委員から「ツアーバスのウエィトが高くなっている一方、一般利用者から見ると、貸切の高速ツアーバスも一般の路線高速バスも一緒」、学識経験者からは「貸切、路線バスの双方の良いところを取り上げて規制すべき点は規制すべき。ツアーバスが利用者を確保し、バス業界の発展に貢献している点は認める必要がある」、「高速バス
の運行にあたっては4条免許取得を義務付けるべき」と所属する組織ごとに考え方を示し、理解を深めた。
 
 第3回の検討会(1月20日開催)では日本バス協会が高速ツアーバスに関する問題点などを列挙した資料を基に論点整理を行った。
 
 日本バス協会は安全性の確保と利用者の確保の2点を重点項目として挙げ、全法令順守、プライアンスの徹底の問題が発生しており、高速ツアーバスは安全性が確保されておらず、運転者の労働条件確保や乗降場所の確保が必要と指摘している。
 
 労働組合側のJR連合と交通労連も日本バス協会と同じく安全性が欠如していると挙げ、乗合高速バス、高速ツアーバスは競争条件が全く異なり、不平等な競争がある限り、問題が発生するとしている。
 
 一方、高速ツアーバス連絡協議会は貸切、路線バスのそれぞれの業態の強みを積極的に活用し、高速バス業界を発展させていくことが大切という考え方を示している。
 
 引き続き検討会でも、高速ツアー問題について議論し、3月末の取りまとめへ向け制度設計を進める。次回は2月17日に開き、3月7日、15、30日の計4回を開催する予定。