自動車ニュース
取引環境・長時間労働の改善に向けたセミナーを開催―近畿運輸局
近畿運輸局は2月15日、TKPガーデンシティ新大阪で「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたセミナー」を開催した。

初めに、栗原弥生・近畿運輸局自動車交通部部長は「我が国は人口減少が進む中、さまざまな問題が発生している。トラック運送業においてもドライバー不足、長時間労働など事業者の努力だけでは解決できない問題がある」と指摘し、「まずは荷主の理解と協力が不可欠である」とあいさつした。

セミナーでは3講演が行われた。まず、橋本恵一郎・国土交通省自動車局貨物課課長補佐が、「トラック業界を取り巻く昨今の動き」と題して講演した。橋本氏は、ドライバーの長時間労働の主な要因が荷主先での荷待ち時間であると指摘した。荷待ち時間をいかに削減するかを、事業者と荷主が一体となって取り組む必要があるとし、今年の7月から荷主都合30分以上の荷待ちは乗務記録の記載対象となることなどが示された。また、昨年7月に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」の交付により、時間外労働に罰金付きの上限規制が導入されたことで、自動車の運転業務においても平成36年度から規制が適用されると説明した。

次に、森川健・野村総合研究所上級コンサルタントが、「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン」と題して講演した。講演ではガイドラインの概要説明と、改善に向けた全国の輸送事業者の取り組み事例を紹介。改善に向けたステップへと進む前に、事業者と荷主の双方が問題意識を共有し、話し合いの場を設けることが重要であると強調した。

最後に、大和紙器株式会社の吉成工場長と山田TFP推進室長が、「取引環境と長時間労働改善事例の紹介」と題して講演。大和紙器では2016年から長時間労働の改善に取り組んでおり、荷待ち時間の削減や得意先納品の効率化などの具体的な改善事例が示された。