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近運局自動車事故防止セミナー 交通事故減少の鍵は健康管理
近畿運輸局(八木一夫局長)は1月24日、大阪市中央区のドーンセンターで第12回自動車事故防止セミナーを開催した。

八木局長ははじめに「自動車事故の防止は永遠のテーマである。事故という自動車社会の影の部分を解決することがセミナーの目的である」と話した。増加傾向にある健康起因事故について「運転中の失神などにより、事故が発生している。今回はこれまで注目されてこなかったドライバーの健康問題について焦点を当てたい」とした。

国土交通省自動車局安全政策課の菊池雅彦・自動車安全監査官は「事業用自動車の安全対策について」と題し、講演した。「交通事故による死者の半数以上は65歳以上の高齢者、また高齢者が加害者となる死亡事故が25%を占める。高齢化が進む中で、減少傾向を継続させるためには、加害者、被害者ともに高齢者がキーワードとなる」と話した。また、事業用自動車による死亡事故件数が5年ぶりに増加(7件増)したことを受けて、具体的な業界への通達項目として「運行管理業務の再徹底、ドライブレコーダーの映像などを用いた効果的な運転者教育、高齢者の事故防止」の3点を挙げた。最後に、健康起因事故の中でも特に多い脳血管疾患と心臓疾患について、「高齢化が進行していくなかで、健康問題を起因とする事故防止の取り組みは不可欠」とし、健康管理マニュアルや各ガイドライン活用による、事故防止対策の徹底を呼び掛けた。

山田誠二・産業保健センター所長は「自動車運送事業における過労死・健康起因事故等の防止対策」について講演。業界の現状について、ドライバー不足と顕著な高齢化を特徴として挙げ、「適切な健康管理による健康起因事故の防止が行われていない」と指摘した。また、法定の定期健康診断だけでなく、産業医や産業保健総合支援センターを活用し、診断結果に基づくフォローアップ、事後措置の実施を強く推奨し、「運行管理と健康管理は安定経営の両輪」であると話した。
奈良交通株式会社安全管理部の西谷保弘統括部長は「健康起因事故の防止に向けて」と題し、同社が取り組む健康管理と課題について紹介した。「健康起因事故には特効薬がないが、ひとたび事故が発生すれば大きな被害を及ぼす」と継続的な事故対策実施の重要性を語った。