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労務講座開く − 兵庫県タクシー協会
兵庫県タクシー協会(吉川紀興会長)は2月7日と28日、兵庫県民会館で労務講座を開いた。

労務委員長を務める青田嘉之氏は「『過労死』という言葉が『KAROSHI』としてそのまま海外でも使用されているのは大変不名誉なこと。本日の講習がこれからの賃金見直しなどの役に立つことを願う」と挨拶した。

つづいて、吉川会長が「今の業界の状況は厳しい。しかし、売上が上がらない、無い袖は振れない状況の中でも、法律はしっかり遵守しなければならない。本日の話を有意義にできるようしっかり勉強したい」と述べた。

講演は浅原敏彦・特定社会保険労務士が「タクシー事業における適正な賃金の支払い等について」行った。まず労働時間の適正把握を行う重要性を説き、平成12年の「三菱重工長崎造船所事件」などの判例を用いて労働時間の考え方について講義した。次に、タクシー運転者の賃金計算について述べ、固定給+歩合給制の計算方法など、詳細な説明を行った。そのほか、各事業者が高い関心を持っている事柄として、「中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の引き上げ」と「年次有給休暇の確実な取得(使用者への義務付け)」の2つの法改正について取り上げた。最後に浅原氏は、「どの事業者も人材確保・人手不足が課題となっている状況だからこそ、法令遵守を通し、働く人が安心できる職場づくりをしてほしい」と語った。

2月28日には同会場で第二回の労務講座が開かれ、第一回の講座後に寄せられた質問を浅原氏が一つずつ回答していった。「手待時間」の解釈をはじめ、労働時間の考え方に関する質問が多く見られ、浅原氏は「原則的に『休憩時間』は、自由利用が保証されているか否か、車両から一定時間離れ得る状態にあるかという観点から判断される」と回答した。そのほか、質問は各事業者が自社で定めている、あるいは導入を検討している労働条件などが法的に問題無いか、という具体的な内容が多く挙げられた。法令遵守を掲げる一方で、具体的な施策に落とし込んで行く際の難しさが、各事業者の困りごとに表れており、参加者は熱心にメモを取り講義に集中していた。